生前贈与で贈与税が非課税となる4つの方法と注意点

贈与非課税のイメージ画像相続、贈与
4つの非課税制度を上手に使いましょう!注意点も!

目次

生前贈与で贈与税が非課税となる4つの方法と注意点

相続税を節税するためにも、子供や孫を助けてあげるためにも、贈与税のかからない非課税制度をしっかり活用しましょう。

これら4つの特例を実行するだけで、課税される相続財産を減らすことが出来ます。

ただし、それぞれの特例には注意点がありますので、次項で確認していきましょう。

この記事をお読みになれば、子供や孫に感謝されつつ相続税を節税し、ファミリー全体の資産を守る4つの手法が学べると同時に、その注意点も確認できます。

4つの方法の解説

以下の4つが代表的な贈与税の非課税制度です。

  1. 住宅取得資金の贈与
  2. 教育資金の一括贈与
  3. 結婚・出産・子育て資金の贈与
  4. 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除(通称:おもいやり贈与)

それぞれ、解説すると同時に注意点を確認していきます。

住宅取得資金の贈与

直系尊属(父母や祖父母)から二十歳以上の子供や孫に住宅取得のための資金を贈与した場合、一定額まで非課税となる制度です。

以下の通り新築の契約日や省エネ等住宅であるかどうかで非課税限度額が変わってきます。

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日省エネ等住宅左記以外の住宅
平成31年4月1日~令和2年3月31日3,000万円2,500万円
令和2年4月1日~令和3年3月31日1,500万円1,000万円
令和3年4月1日~令和3年12月31日1,200万円700万円

国税庁ホームページ:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税から引用。適用にあたっては要件がありますので、注意が必要です。

親から子、祖父母から孫への資金移転を促し、経済を活性化する目的で設けられた特例ですが、そもそも住宅を取得するべきなのか?という視点からは慎重に検討するべきと筆者は思っています。

主な検討ポイントは2点です。

賃貸アパートやマンションに住んで、蓄財に励んだ方が良いのではないか?

これからは社会環境が激変していきます。

日本は人口が減り始めていますし、これからはその勢いを増しながら減少していくことが予想されています。

中長期で見れば、一部の地域を除いて、住宅価格は下落することが容易に想定できます。

働き方も変わってきていますし、高度成長期のように住宅ローンを組んで高額な住宅を取得するべきなのでしょうか?

小規模宅地等の特例が使えなくなる

住宅を取得すると、自ら住宅を取得した夫婦ともに、それぞれの親から土地を相続する時に、最も有効な節税策の一つである小規模宅地の特例が使えなくなってしまいます。

詳しくは、国税庁のホームページをご覧いただきたいと思いますが、ごく簡単に言うと、親が住んでいた330㎡(約100坪)までの土地を相続する時、その相続税評価額が80%減額されるという特例です。

子供などの相続人が自分自身の家を所有していると、この特例が使えなくなります。

家を持っていなければこの特例が使えるので、通称、家なき子特則などとも言われます。

従って、都会地などで土地が100坪前後の一戸建てに住んでいらっしゃるケースでは、相当な相続税評価額となるケースも多く、このような場合に、小規模宅地の特例が使えないと、莫大な相続税を支払うことになってしまうケースがあります。

結局、非課税で住宅取得資金の贈与を1000万円程度行ったとしても、それ以上の相続税が発生してしまっては、あまり意味がないようにも思えますね。

この点にはご注意ください。

No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

人生の選択なので、何が正しいかは人それぞれですが、賃貸で比較的自由に生活し、親が高齢になったら同居する、相続が発生してから、実家に戻って住む、などの選択肢もあるでしょうね。

この場合には、小規模宅地の特例が使えますので、相続税を節税することが可能になります。

教育資金の一括贈与

親や、祖父母から30歳未満の子供や孫に教育資金を贈与すると、1500万円までは非課税に出来る制度です。

今のところ、2021年の3月31日までの教育資金贈与に限定されています。

適用に当たっては、贈与を受ける側、受贈者の所得制限等の要件がありますので注意が必要です。

詳しくは、国税庁のホームページ:祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらましを確認ください。

デメリットとしては、金融機関を経由し子や孫を受益者とする信託設定をする仕組みですので、資金使途を明らかにするため、すべてに領収証が必要で、この手続きが結構面倒です。

そもそも、日常の生活で、孫のために教育資金を拠出しても、贈与とはされずに非課税になります。

例えば、入学金を出してあげた、留学費用を出してあげた、塾代を支援した、などは、すべて非課税です。

従って、祖父母の皆さんが元気であれば、入学時期などに、その都度、支援してあげれば喜ばれますし、複雑な手続きも不要ですので、おすすめです。

では、どのような時に教育資金の一括贈与を使うのかというと、

  • 体調が悪く、余命が不安な状態なのに、十分な相続対策が出来ていない。(従って、一定の資産をお持ちの若い親御さんが、不幸にして病気で余命が限られるようなケースにも使えます)
  • 高齢になってきて、痴呆が心配される状態になってきた。(痴呆と診断されたら、暦年贈与などや日常生活の中での資金拠出も困難になります。)

このような時に、「一括」で孫や子供に教育資金を贈与すれば、贈与した額だけ課税相続財産を減らすことが出来ます。

亡くなる直前でも意思の表明が出来れば一括贈与することが出来ます。

結婚・出産・子育て資金の贈与

親や祖父母から20歳以上50歳未満の子供や孫へ1000万円までの贈与が非課税となる制度です。

  • 今のところ2021年3月31日までとされていて、
  • 使い道は、挙式費用、出産費用、保育料などに限定されています。
  • 受贈者が50歳の時点で残額があれば、その残額に対して贈与税が一括課税されます。

基本的には教育資金贈与と同様、子や孫を受益者とする信託設定がされるので、すべてに領収証が必要です。

また、教育資金の拠出と同様に、日常生活の中で出産費用などを援助しても、特に課税されることはありません。従って、「結婚・出産・子育て資金の贈与」の特例を使わずに、都度、支援するという方法もおすすめです。

注意点としては、贈与者が亡くなってしまった場合には、使えなかった残額が相続財産とされてしまうので、この点には注意が必要です。

つまり、結婚・出産・子育て資金の贈与については、相続直前に、駆け込み相続対策として一括贈与するという使い方は難しいということです。

詳しくは、国税庁のホームページ:No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税をご覧ください。

夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

通称、おもいやり贈与と言われています。

  • 婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、一生に一度だけ使えます。
  • 居住用の不動産または居住用の不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合に非課税となります。
  • 最高2,000万円まで控除できる制度です。
  • 一般的には、金銭を贈与するより、不動産の評価額は低くなるので、居住用宅地を贈与する方がお得です。
  • 相続直前にも贈与出来ますので、直前対策としても有効です。

注意点としては、夫婦二人のうち、土地などを所有している方が先に無くなることが前提ですので、おもいやり贈与で土地を非課税で贈与した後、贈与された方が先に無くなってしまっては元も子もありません。この点には注意が必要です。

詳しくは、国税庁のホームページ:No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除をご覧ください。

まとめ

以上、生前贈与で贈与税が非課税となる4つの方法と注意点を見てきました。

日本の相続税は、世界の中でも目立って高額です。

相続税を減らせて、子供や孫にも喜ばれるのであれば、ぜひ活用したいものですが、ご覧いただいたように、一括ではなく、都度、支援してあげた方が、結果的には喜ばれるケースもあると思います。

それぞれの状況に合わせて、上手に活用されると、ファミリー全体に笑顔が溢れるのではないかと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました