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妻が主婦 兼 社長の場合の役員報酬は、iDeCo+130万円未満がベスト
私は、課税所得が900万円を超えています。
従って、雑所得となるソーシャルレンディング投資の分配金や、暗号資産の売買によるキャピタルゲインには、所得税・住民税で40%の税金がかかっていました。
雑所得による総合課税は、本当に厳しいです。
そこで、妻を社長にして合同会社を登記し、節税のために資産運用・管理会社を設立しました。
これによって、妻に役員報酬を支払い、青色申告控除を受け、会社の運営に関わるお金も様々な経費として計上することが出来て、収入として入ってくる分配金やキャピタルゲインも、その多くを実質的に非課税とすることが出来ています。
個人であれば40%→法人であれば、ほぼ非課税
つまり、年間300万円の分配金など法人収入があれば、税金は、
個人であれば120万円→法人であれば、最大でも30万円になったということです。
300万円-妻の所得130万円弱-青色申告控除65万円-車の経費やネットの経費他=100万円弱
税率を30%弱としても、最大30万円です。
まさに、
- 所得の分散効果と、
- 法人税 < 所得税+住民税
- 経費化出来る範囲の拡大
というメリットを最大限生かすことが出来ています。
法人設立や維持には少々手間やお金がかかりますが、チャレンジすれば結果はまずまず良いと思います。
※もっとも法人成りするには、前提として法人収益の発生が必須です!(^^)!
法人を設立すると、
私に代わって経理事務や、投資実務をやってくれている妻社長(合同会社は代表社員)の報酬をいくらにするか?という問題が出てきます。
この問題は、
- 所得税・住民税の課税水準の問題
- 社会保険料の支払い基準の問題
- どんな控除が適用されるのかという問題
などがあって、簡単ではありません。
この記事では、私自身が妻社長の報酬をいくらにするかで考えた結果をお伝えしていきます。
最後までお読みになり、妻社長の報酬をいくらにするかで悩んでいらっしゃる方は、それぞれの考え方や方針にあった報酬額を決定してください。
創業後、妻社長の役員報酬の最適解は?
妻が専業主婦から社長になったということは、社長に就任する前は、あなたの扶養家族になっていたということだと思います。
今までは無職でしたから、所得税も支払っていませんし、扶養家族であったということは、健康保険料や国民年金保険料(第3号被保険者としてあなたの保険料に含まれていた)も支払っていなかったということです。
扶養家族という立場は、さまざまなメリットを受けているのです。
従って、妻社長の報酬を考える場合には、
- 所得税・住民税が発生する基準
- 社会保険料の支払いが発生する基準
- 課税所得を引き下げるための各種控除の活用
等をよく検討して、メリットを享受できるものは、そのまま活用した方が良いということになります。
ただし、事業が絶好調で、収益がどんどん増えていくような状況では、妻社長の報酬も増やし、税金や社会保険料も支払っていくしかないでしょうね。
税金と社会保険料支払いの問題 通称:所得の壁
サラリーマンの妻は第3号被保険者と言って、国民年金の保険料を免除されています。(ご主人が支払う厚生年金保険料に含まれいることになっています)
これは主に働く女性から社会批判を受けている問題でもありながら、中々、修正されることはなく今に至っています。私の妻も第3号被保険者ですので、ありがたいことに今までメリットを最大限享受してきました。
また、103万円の壁等という所得の壁に関する話も聞いたことがあると思います。
まずは、ここを理解しないと先に進まないので、専業主婦が社長になったり、役員になった時に発生する「収入の壁」について確認しておきたいと思います。
103万円の壁 → 所得税が発生するか否か
「103万円の壁」とは、給与や役員報酬が年間103万円以下であれば、本人の所得税がかからないという水準のことです。
なぜ年間103万円を超えると所得税がかかるのかと言えば、給与や役員報酬には、
- 給与所得控除65万円(給与所得者の必要経費のようなものです)
- 基礎控除38万円(誰でも対象になる控除です38万円)
の二つの控除があり、103万円までであれば、「課税所得」が発生しないということになっているからです。
このほか、住民税の所得割で非課税となる基準があります。
それは年収が100万円以下の場合です。
これは住民税の基礎控除額35万円と給与所得控除額65万円の合計100万円を超えないからです。
従って、妻社長の役員報酬は100万円以下にしておけば、課税所得が発生しないので、税金の問題も扶養から外れるという問題も発生しないということになります。
130万円の壁 → 社会保険料支払いが発生するか否か
「103万円の壁」や「100万円の壁」は、所得税や住民税が発生するか否かという税法上のものですが、「130万円の壁」は、収入が130万円を超えると、あなたの扶養から外れて妻社長が自分自身で健康保険料・年金保険料を支払わなくてはいけなくなるという社会保険上の壁を指します。
妻社長が社会保険に自分自身で加入するということになると、実質的には手取り額が減ってしまうので、なるべくなら避けたいですね。
もちろん、がんがん儲かっていて、所得もどんどん増やして税金も社会保険料も支払うしかないという場合を除きます。
妻社長が自ら厚生年金に加入することのメリットは、将来の年金受け取り額がほんの少しアップすると言うことだと思いますが、後で説明するように、iDeCoや小規模企業共済などに加入する方が圧倒的に得なので、妻社長が自ら社会保険に加入するメリットは、ほとんどないと言っても良いと思います。
その他の控除を活かすと、報酬はどこまで非課税に出来るか?
上述のように、妻の役員報酬が年間100万円以下であれば、所得税も住民税も発生しないので、自ら社会保険料を支払う被保険者とはなりません。
そして、100万円を超えれば、順番に、住民税、所得税が発生し、130万円を超えれば、扶養から外れて妻社長が自ら社会保険料を支払うことになるわけです。
この130万円の壁を各種控除などで調整することは出来ませんが、課税所得を減らすためであれば、以下のように14種類もの様々な所得控除があります。
- 雑損控除
- 医療費控除
- 社会保険料控除
- 小規模共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 寄付金控除
- 障害者控除
- 寡婦(夫)控除・特定寡婦控除
- 勤労学生控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 基礎控除
以上のうち、妻社長の報酬というテーマで多くの方が使えるだろう重要な控除項目は、
- 小規模企業共済等掛金控除
になると思います。
次の項目で確認していきます。
小規模企業共済等掛金控除(iDeCoも)
小規模企業法にある共済契約の掛金や、確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金又は個人型年金加入者掛金、地方公共団体による心身障害者扶養共済掛金などを支払った場合に受けることができる控除です。
小規模企業共済制度であれば、要するに月7万円(年間84万円)までの掛け金が全額控除(非課税)になり、詳しくは中小機構のホームページをご覧ください。
さらに個人型確定拠出年金(iDeCo)制度であれば、月23000円(年間276000円)が全額所得控除になるということです。(妻社長の場合)詳しくは、iDeCo公式サイトをご覧ください。
この控除にiDeCoが入っていることがミソです。
私の妻は、専業主婦の時代からiDeCoには、加入していたので(専業主婦でも利息には課税されないというメリットがあるので)社長になってからは、所得から控除も出来るメリットが加わりました。第3号被保険者のままなので、手続きは必要ありませんでした。
しかも、両制度は併用も可能です。
妻社長の場合には、合わせて年間1,116,000円までは、所得から控除できるということになります。
ただし、iDeCoも小規模企業共済も、確定申告で「所得控除」はできますが、あくまでも所得税の控除だけです。
報酬が130万円を超えていれば、社会保険料の負担は自己負担になってしまいます。(社会保険料の算定基準から控除することは出来ません)
結論:その他の控除を活かして、報酬を非課税にする適正報酬額とは?
上記の通り、
- 結局、報酬を130万円以下にして、社会保険料負担を抑えながら、
- iDeCoに加入すれば年間276000円は所得控除を受けることが出来るので、
- 税金も非課税になるということになります。
- 合計控除額は、基礎控除:38万円、給与所得者控除:65万円、小規模企業共済等掛金控除(iDeCo分):27.6万円となります。合計で130.6万円になります。(住民税では127.6万円)
従って、
事業が順調に拡大し、いろいろと試算した上で、妻社長のお給料を社会保険料を支払う前提にまで増額する場合には、さらに以下の2つの控除を活用して、節税すると良いでしょう。もちろん、iDeCoには加入せずに、以下の控除を30万円以下に調整して活用することもありですね。
- 小規模企業共済等掛金控除(小規模企業共済分):年間最大84万円
- 生命保険料控除:10万円~12万円(詳しくは、国税庁ホームページ:No.1140 生命保険料控除をご覧ください)
まとめ
節税を目的として、妻を社長に合同会社を設立しましたが、役員報酬が130万円未満であれば、サラリーマンの妻としてのメリットを享受しながら、法人化のメリットも受けられます。
今後、さらに資産運用が上手くいったり、事業が拡大すれば、いずれ、妻の役員報酬を増額し、社会保険料を支払うようにするかもしれません。
ただし、法人の課税所得が800万円を超えるくらいまでは、法人税の実効税率である23%~30%弱を有効に活用することを前提に、車やその他の減価償却費などを上手に組み合わせたりしながら、当面は、現在のままでいくことを考えています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
皆さまの会社がさらに発展すること、これから法人を設立される方は、スムーズにスタートできることを心からお祈りしています。
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